「腫瘍随伴症候群」というのは
腫瘍細胞が産生・分泌するホルモン等で引き起こされる症状のことです。
たとえば、成人T細胞性白血病では高カルシウム血症が引き起こされることが
よく知られています。
腫瘍随伴症候群の整理の前に成人T細胞性白血病について簡単に説明を挟みます。
成人T細胞性白血病(ATL)とは
- 末梢型T細胞由来の悪性腫瘍で九州、四国に多発している。
- HTLV-1は母乳を介した母子感染をする。
- 腫瘍細胞はCD4陽性のhelperT cell typeで切れ込みをもつ脳回転状の核形態が特徴である。
- HLA-DR、CD25が陽性となる。
- 腫瘍細胞のPTH-rPの産生による高カルシウム血症を伴う。
ついでに、試験問題として頻発する腫瘍ウイルス5種は当然知っておいてください。
- EBウイルス(バーキットリンパ腫等)
- B型肝炎ウイルス(肝細胞癌)
- C型肝炎ウイルス(肝細胞癌)
- ヒトパピローマウイルス(子宮頸癌等)
- HTLV-1(成人T細胞性白血病)
というわけで、高カルシウム血症を引き起こす成人T細胞性白血病の他にも
腫瘍随伴症候群は以下ようなものがあります。
各種腫瘍随伴症候群 | 原因ホルモン | 疾患 |
好中球増多症 | 腫瘍細胞の産生するG-CSF | 未分化癌で発症 |
高カルシウム血症 | 腫瘍細胞の産生するPTH-rP |
扁平上皮癌、乳癌、 成人T細胞性白血病、で発症 |
Cushing症候群 | 腫瘍細胞の産生するのACTH |
肺小細胞癌、 悪性ランゲルハンス島腫瘍で発症 |
多血症 | 腫瘍細胞の産生するのエリスロポエチン | 腎細胞癌で発症 |
SIADH | 腫瘍細胞の産生するのADH | 肺小細胞癌で発症 |
カルチノイド症候群 | 腫瘍細胞の産生するのセロトニン |
中腸系カルチノイド (虫垂、回腸由来)で発症 |
ゾリンガーエリソン症候群 | 腫瘍細胞の産生するのガストリン | 悪性ランケルハンス島腫瘍で発症 |
ということで腫瘍随伴症候群をご紹介しました。

暗記事項が多いので関連事項を紐づけしていきながら
頭の中で整理することが大事だね。
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